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ゆめちょ物語

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いじめは「被害者の問題」ではなく、「加害者の問題」

いじめってどうして起きるのでしょう? 「いじめ」の定義には、よく「苦痛を感じるもの」といった表現があります。それって、ちょっとおかしいと思うんです。たとえば一般社会では「(加害者が)殴る行為=暴力」なのに、学校では「(被害者が)殴られて嫌だと感じたら=いじめ」。じゃあ、痛いと言えないように脅せば暴力ではなくなるのか?そんなはずないですよね。つまり、いじめでは、本来は「加害者の問題」が、「被害者の問題」にすり替えられているんですね。

実際のいじめから見ていくと、3つの共通項が浮かび上がってきました。それは、「1.加害側が多数」、「2.継続性・ストーカー性」、「3.すり替え」です。

第一に、いじめは必ず加害側の方が、人数が多い。被害者は孤立化させられ、ほとんどの場合1人です。いじめというと、いわゆるジャイアンみたいな強いキャラが、のび太のような弱いキャラをいじめるイメージをされがちですが、実際はそうではないんですね。大人数で、1人を狙う「集団リンチ」なんです。

第二に、いじめはストーカー的性質があり、被害者にしつこくつきまといます。たとえばメールも100件、200件と大量に送るなど、執拗に繰り返す。私たちも嫌がらせの無言電話を5〜6年間かけられ続けました。第三に、ごまかし・すり替えが行われるのも特徴です。たとえば暴力は「プロレスごっこ」、お金を脅し取っても「借りているだけ」とか。昔のように素直に「カツアゲした」とは言いません。しかもその額も、数百万円、1000万円なんて例もあるくらいです。そういったごまかし・すり替えが、 いじめをエスカレートさせています。

 

いじめはすべての人にとっての損失

よく大人たちは無責任に被害者に「もっと強くなれ」なんて言いますよね。けれども、被害者1人で圧倒的多数の加害グループに勝てるでしょうか。誰も勝てないですし、危険です。なのに、被害者が弱いという「弱者のレッテル」を貼ってしまいます。これが何が問題かというと、一つは「被害を訴えにくくしてしまう」ことです。だって、被害を訴えると「弱いからだ」と周囲から責められてしまいますからね。すると、被害者本人もいじめを隠そうとしてしまいます。

百世氏が自らの体験をもとに、いじめが起きる仕組みを見える化した「いじめの構造を読み解く」。データはオンラインで公開されている。

百世氏が自らの体験をもとに、いじめが起きる仕組みを見える化した「いじめの構造を読み解く」。データはオンラインで公開されている。

もう一つは、傍観者の「自己正当化」です。クラスメートがひどい目にあっている。次は自分かもしれない。そんな時に、「良心の痛み」と、助けられない「自分の無力感」を感じるのが普通です。

その痛みを軽くする、もしくは感じないですむのが……「被害者への原因探し」。そうすれば、自分は悪くないと思えますから。つまり、「被害者にも原因がある」というのは、加害者・傍観者・学校がいじめを放置し、自己正当化するための理由探しなんです。そういった被害者への「二次加害」のカラクリを私たちが知ることで、被害者を追い込まずにすみます。どんな助け、言葉が必要か。私たちにできることはたくさんあります。

いじめが起きると、影響があるのは被害者だけではありません。見て見ぬふりの傍観者も、次のターゲットにされる不安やストレス、クラスが無法地帯になり、勉強にも集中できなくなりますし、実際、いじめが起きたクラスは全体の成績が低下します。

被害者へは心身ともにダメージを負わせ、加害者は加害中毒になり、傍観者は良心を汚し無力感にさいなまされる。さらにクラス全体に、人間不信や成績低下が起きます。すると大人になっても、どの子も人間関係に支障をきたしやすくなるでしょう。子どもたちは未来を担う存在です。日本の未来にとって、こんな大きな損失はありません。


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