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ゆめちょ物語

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調査データから見える、いじめの背景にあるもの

では、どうすればいいでしょうか。興味深いデータがあります。京都大学の正高信男教授が全国8つの市の中学校で行った調査です (『いじめを許す心理』岩波書店)。いじめという言葉は使わずに、たとえば「頭のいい子がいる。良い子ぶってるからと、その子の教科書を捨てた」「太っている子がいる。その子のノートにデブと落書きした」という4つのパターンのいじめ行為を描写し、「あなたならクラスメートがとったその行動に対して、どうしますか?」というアンケートを取ったんですね。その結果を、自分もそうするという「加害者タイプ」、見て見ぬふりをする「傍観者タイプ」、先生に報告したり止めさせるといった「正義漢(解決)タイプ」に分類しました。

いじめが報告されたクラスと、報告されていないクラスで結果を比較してわかったこと。当然、いじめがないクラスには正義漢タイプが多いわけですが、正義漢ばかりを集めてクラスを作ったりしませんよね? つまり、状況によって加害者側についたり、解決を選んだりという、浮遊票がある。それは結局、傍観者タイプなんです。

もう一つ注目すべきは、いじめがあるクラスにも、ないクラスにも、加害者タイプの子どもが一定割合でいること。私たちは「加害者タイプの子がいる」クラスでいじめが起きると考えがちですが、それだけではないんですね。加害者タイプの子は、いじめが起きてないクラスにも存在する。つまり、そこでは抑えこまれていたんです。

これらの結果から見えてきたのは……いじめが成立するかどうかは、「傍観者の数」で決まるということ。いわば、その場の「空気」です。つまり、理不尽な行為を野放しにすることで、傍観者がいじめの磁場を作っていたんです。

 

いじめをなくす、解決する方法とは

2014年に「いじめ防止対策推進法」が施行されて、すべての学校で、「いじめ防止基本方針」をできるだけ早い時期に策定するよう求められました。でも実際はというと、法律ができたから形だけ整えた学校も多いようです。

たとえば、私の娘の小・中学校でもスクールカウンセラーが設置されていましたが、そこに出入りするのを誰かに見られたら…と思うと、みんな行けないんですよね。それに「大変だったね」と、カウンセラーの方がどれだけ慰めてくれても、また明日いじめられるのだったら、意味がないですよ。だって、何も解決しないわけですから。

いじめ対策というと、問題が大きく複雑で、何から手をつけていいかわからないと感じてしまうかもしれません。けれども、いじめをなくす、解決する方法はあります。

いじめは、加害者と場(傍観者・学校)が起こす犯罪です。つまり、「加害者にいじめをやめさせれば」いい。それができないのは、どうしてでしょう?なぜ野放しにしておくのでしょう? 一般社会で犯罪が起きれば、もっと被害者に強くなれとは言いませんよね。加害者を刑務所へ隔離し、罰するはずです。それが正しい対処です。ところが、学校や職場のいじめなどでは、加害者が見逃されます。つまり、いじめは、「閉鎖的な世界」で起きる、「理不尽」な行為なんですね。

また、いじめ研究の第一人者であるノルウェーのダン・オルヴェウス博士によると、いじめ加害者だった子どもが24歳までに犯罪者になる割合は他の子どもの約6倍と、格段に高いデータがあり、男性はDV加害者に、女性は幼児虐待をする傾向もわかっています。さらにブラック上司になったり、ママ友いじめもするでしょう。つまり、加害することで自己優位性を感じて、やめられなくなる。いじめ中毒、依存なんです。それは、社会全体にとっても損失ではありませんか?

子どものうちに加害の罪に気づき、反省してやめることができれば、本人が良くなるのはもちろん、職場や地域の安全性も高まります。


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