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ゆめちょ物語


MISSION 4 施設・里親出身者にセカンドチャンスを!
2015.08.12
子ども、親、支援者の人権を保障し、貧困の再生産を断ち切る
日本福祉大学社会福祉学部 准教授 堀場 純矢さん

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2015年度、「夢の貯金箱」の4つ目のミッションとして新たに加わった「施設・里親出身者にセカンドチャンスを!」。

本ミッションでは、何らかの事情で親元で暮らせず、児童養護施設や里親など“社会的養護”のもとで育った子どもたちを対象に、「夢の奨学金」を立ち上げます。社会的養護による支援は、制度上、18歳になると終了を迎え、子どもたちは、施設や里親から離れて“自立”を余儀なくされます。進学費や生活費を賄えないため、大学や専門学校に進学する子どもは約2割にとどまり、進学したとしても支払いを続けられず、中途退学する子どもも後を絶ちません。

こうした資金的な部分の援助と、さらに、ケアワーカーなどを配置し、子どもたちが悩みや将来を見据えた相談ができる人的な解決体制を構築・強化することで、彼らのキャリアアップや転職を成功に導き、奨学金の成果を高めるよう取り組んでいきます。

この資金的、人的サポートの両輪での支援体制には、児童養護問題の背景にある、虐待・貧困といった負の再生産を断ち切るという大きな目的があります。子どもが社会的養護に至る最大の要因は虐待・放任、次いで親の精神疾患です(※1)。親の生活・労働問題から施設職員の労働環境に至るまで、児童養護問題を専門とし多面的な分析・研究を行っている堀場純矢さんに、現在の課題と根本的な解決策、その中における本プロジェクトの意義についてお話を伺いました。

 ※1 厚生労働省「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議会児童部会」資料

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000040344.pdf

 

■堀場純矢氏 プロフィール

1975年愛知県生まれ。金沢大学大学院人間社会環境研究科博士後期課程修了 博士(学術)、社会福祉士、全国児童養護問題研究会編集部長。児童養護施設児童指導員、東海女子短期大学専任講師、中京女子大学専任講師などを経て、2009年から日本福祉大学社会福祉学部准教授。最新著書「階層性から見た現代日本の児童養護問題」(明石書店、2013年)では、児童養護施設で暮らす子ども、親、施設職員などに対して行った調査をもとに、児童養護問題を階層的な視点から社会のしくみと関連づけた分析を行っている。


 

再生産する貧困こそが、根本にある問題

私は、児童養護問題を貧困問題と捉えています。結果として表面に出てくるのは子どもたちに対する虐待・放任などでも、その根本には、親の失業問題がある。東京都が行った都内児童虐待事例の分析(※2)においても、虐待が行われた家庭で「経済的困難」の状況にあるのは3割を超えています。最近でいえば、リーマンショックや、その前のバブル崩壊もそうですが、最末端の労働者である親は景気の悪化や、都合のいい雇用調整の影響を受けやすい。親の責任ということではなく、親の親の代から階層が固定化してしまっていて、一番底辺にいる貧困層の状況は一向に改善されないということです。そこを食い止めないと、いくら虐待が起きた後に子どもの心理的ケアをしたとしても、子どもを養育する親御さんの生活自体が崩壊しているので、根本的な解決にはなりえません。背景には親が突然職を失ってしまい仕事が見つからず、その結果イライラして飲酒をしたり、虐待、DVをしたりと、そういう負の再生産が根本にあります。

 ※2 平成17年 東京都福祉保健局「児童虐待の実態Ⅱ」

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/jicen/gyakutai/index.files/hakusho2.pdf

 

早期に親子を支えるアウトリーチ型支援を

日本は生活保障制度が極めて脆弱なため、失業したらあとは生活保護しかないという底抜け社会です。一度社会保障の網からはずれると、貯金や親戚・家族の支援がなければ一気にホームレスや生活保護に陥ってしまう。生活保護を申請したとしても、いわゆる行政の“水際作戦”によって、窓口で追い払われてしまうことが多い。例えば、母子生活支援施設に入所している子どもは、お母さんが生活保護を申請して行政の担当者から「書き直してこい」と言われたりするのを目の前で見ており、それを真似た「ごっこ遊び」をしているケースもあります。生活保護を受けられないと、その代わりに風俗業が女性のセーフティネットになってしまっている。それくらい深刻だということです。

また、親御さんがそういう状況だと、経済面に加えて「生活文化の貧困」の問題が大きい。例えば、家庭訪問をすると、家具がまったくないか、ゴミ屋敷状態かどちらかが多い。親子の会話がほとんどなく、食事もご飯を炊いて醤油をかけただけというケースもある。そのため、子どもたちには、具体的な生活文化の伝承がない。親は仕事が忙しすぎてそんな時間もないし、やり方がわからない。一緒に心地よい会話をしたり、食事のバランスを考えたり、季節行事の経験や映画・旅行に行ったりといった文化的な活動、家族の生活がないのです。子どもがそういう家庭で育った結果、自分も大人になって子どもの育て方、関わり方がわからなくなってしまい、それも悪循環を引き起こしてしまいます。


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