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ゆめちょ物語

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一方、北ヨーロッパ諸国では、アウトリーチ型の家事育児支援というのがあります。これは日本の小・中学校くらいのエリアごとに地域拠点があり、保健師や保育士、ボランティアの人たちがいて、ひとり家庭で不安がある家庭に入り込み、横並びの関係で家事育児の仕方も含めて支援するというものです。福祉施設に子どもが来てからでは遅いのです。その手前で食い止めるために、親御さんの雇用・所得保障をしっかりやり、日本でもこうしたアウトリーチ型の地域拠点を作れば、施設に来る子どもの数は、かなり減るのではないかと思います。

 

施設の小規模化・地域分散化、家庭的養護推進の前提条件とは

本来、国もこの早い段階での対策に先行投資すべきだと思います。児童養護施設で子ども一人が生活するには、税金が月に約30万円かかることになります。それよりもその子どもが早いうちにサポートを得られて成長し、将来、税金を払える立場になった方が、国や自治体の社会的コストを下げることにもなります。

今、国は児童養護施設から里親・ファミリーホーム(家庭で5~6人の子どもの養育を行う)に移行しようとしています。これは現場からの要望や国連の指摘、欧米で “家庭的養護”が主流であることなどが背景にあります。私も子どもに家庭的なケアを保障することは重要なことと考えています。しかし、歴史的・社会的背景や、施設職員の配置基準・里親へのサポート体制などが異なる日本で、十分な基盤整備をすることなしにそれを進めるのはリスクも大きいと考えています。

日本の場合、施設職員の配置基準がかなり低いです。1976年以来、30年近く職員1人に子ども6人とされていた配置基準が、2012年度には職員1人:子ども5.5人、2015年4月には職員1人:子ども4人、と改善はされてきました。それでも、子どもよりも職員の数の方が多い北ヨーロッパ諸国と比べると、手薄な職員配置です。勤務は交替制で宿直もあり、さまざまな年齢の子どもへの対応が必要とされるうえ、問題が起きやすい時間帯の夜間に職員配置が手薄にならざるをえない状況もあります。

日本でいま国が進めようとしている政策は、実態にマッチしていない部分が大きいと語る堀場氏。

日本と北ヨーロッパでは、児童養護を取り巻く環境の違いが大きいと語る堀場氏。

日本の児童養護施設はその多くが、社会福祉法人などの民間団体が行政からの委託を受けて運営されています。社会福祉法人はその多くが仏教やキリスト教などの宗教を背景に設立されていることも多く、同族経営の割合も高いため、運営方法にばらつきがあります。そのため、職員の個人的な自助努力によってカバーする部分が大きく、民主的な運営がなされている施設以外は職場外のネットワークも十分に構築できているとはいえません。そうしたなかで施設を小規模化すれば、各ホームがばらばらになってしまいます。また、各ホームや担当職員ごとの情報格差が広がり、先輩職員の背中を見て仕事を学ぶこともできず、職員が孤立し、独善的になりがちな環境が生まれやすくなります。


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