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ゆめちょ物語


MISSION3 障害者を一流のショコラティエに!
2015.12.03
チョコレートを通じ食を、人を、社会を豊かに
久遠チョコレート シェフショコラティエ 野口和男さん

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2014年から「夢の貯金箱」寄付金を活用し取り組んでいるミッションの一つ、「障害者を一流のショコラティエに!」。障害者の雇用創出、工賃向上、障害の有無にかかわらず生きがいを生み出していくことを目的に、全国の福祉事業所でチョコレート商品企画・開発、販売に取り組んでいます。

プロジェクト開始からわずか1年半ほどの間に、全国に4ヵ所のセンターラボ(開発製造拠点)、6ヵ所のブランチラボ(各地域で核となる施設)が誕生(※1)、さらに多数の福祉事業所を訪問しチョコレート商品の研修を行っています。自主ブランド「久遠(くおん)チョコレート」では、オリジナル商品を開発・製造し、すでに大手百貨店での販売事例も出ているほか、多数のメーカーからOEM商品製造を受注。事業は異例のスピードで拡大し続けています。

その急成長を中心で支えているのが、野口和男ショコラティエの存在です。これまでに数多くの有名ブランドチョコレート商品を手掛け、日本でもチョコレートの取り扱い量が一番多いショコラティエとも言われる野口氏。原料の仕入れ、流通、プロジェクトに参加している全国の福祉事業所での製菓指導まで、本事業における大きな役割を担っています。40歳から独学でチョコレートを探求してきた異色の経歴を持つ野口氏が今この事業に携わる理由は何か。本事業に寄せる思い、感じている可能性などについてお話をお聞きしました。

※1 2014(平成26)年8月~2015(平成27)年10月末時点の数。
詳細は「全国夢のチョコレートプロジェクト」ホームページ参照。http://quon-choco.com/

■野口和男氏 プロフィール

40歳から独学でチョコレートについての専門知識を深め、原料調達からチョコレートの調理・加工、商品開発まですべての工程を知り尽くした“知る人ぞ知る”トップショコラティエ。これまでに国内老舗名門菓子店、ハイクラスホテルや星付きレストラン、海外の有名ファッションブランドなど、各業界の名だたるブランドからの依頼を受け、チョコレート商品を手掛けている。2014年より、本プロジェクトの自主ブランド「久遠チョコレート」のシェフショコラティエを務める。


 

40歳でショコラティエへ転向

僕の家は自営で、父がチョコレートの製造機械を作っていた。僕は長男で自然と家を継ぐんだと思っていたから、学校も機械工学科を出ました。でも機械というのは、ある程度業界に行き渡ると当然ながら売れる数も減ってくる。 “いい機械”を作ろうとしても、他が5年で壊れるのを30年もつような機械を、となれば30年に1度しか売れないわけですよね。食べたらなくなって、販売機会の失われないチョコレートの方がマーケットはあるなと思っていたから、チョコレートの勉強を始めました。お菓子全体は「パティスリー」という広い世界だけれども、どれか一つ、チョコレートだけなら自分も志を持てば一流になれるだろう、と思っていましたね。

40歳の時に自分が大病をして仕事のやり方を変える必要もあった。だから最初はチョコレート職人の仕事を、生活の手段として始めたところもあります。僕は全部独学だから、最初は材料すら売ってもらえなかった。「あなたどこの店で修業したの?」と言われたりね。もちろん、たくさんチョコレートに触れて、食べて、原料のカカオが作られている海外にも足を運び努力はしたけれど、当時、僕にチョコレートの仕事をくれた人は、僕の商品でそう決めたんじゃない。仕事をくれた理由は「お前面白いじゃん」という僕に対しての期待感。その期待に応えることを続けて10年くらいこの業界にいると、継続は力なり、というのは本当にそうで、業界の人として認知されていくんですね。

成功する・しないを分けるのは、思いの深さ。本当に思いが深ければ、物事は成し遂げられる。有名なパティシエは確かにすごいが、手が届かない人ではない。思いの深さや人間性では負けてないぞ、と自分のポテンシャルを信じていました。

 

障害者、健常者の違いは意識していない

チョコレートに携わるにつれ一番感じたのは、人の味覚が危険にさらされているということ。加工しなければ味がしないからと、香料だらけの商品が街で売られている状況。お菓子の業界は労働環境が厳しいところも多いし、原料が育つ現地に行けば農民が1個30円くらいでカカオを売っているし。そんな経済的にも味覚的にも貧困な状態、これを直していかなくちゃと思っている時に、久遠チョコレートを立ち上げた夏目浩次さんとの出会いがありました。

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自主ブランド「久遠チョコレート」の商品一例。アーモンドやドライフルーツの素材の食感を残しつつ、チョコレートで丁寧にコーティングした人気商品。

夏目さんから障害者の工賃向上や障害者をショコラティエに、という話も聞いたけれども、僕にしてみれば障害者、健常者の違いは意識していなくて、同じ生きていくなら笑顔の方がいいし、笑顔になれる仕事は何かと考えた時に、一つのものを作り上げた時の達成感や喜び、共通の分かち合える感覚はいいなと思った。それに、美味しいものを食べるとみんないい顔をするでしょう。だからチョコレートを通じて味覚の世界も人も豊かになれば、と素朴な思いでこの事業に参加しました。

障害のある人が作ったものを同情して買ってもらうような、そんな社会も豊かとは言えない。誰が作るとしても、本物の材料を使い、素材の特徴や扱いのルールを理解して丁寧に作られたものが“いいもの”なんだという一つの投げかけをしたかった。チョコレートにはそういう本質に気づかせてくれる力がある。僕もチョコレートのおかげで人生が豊かになったから、それをみんなに還元していきたいですね。


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