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夢の貯金箱

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2008年よりスタートした日本財団夢の貯金箱。これまでに10,000 人以上の方にご参加いただき、累計10億円を超えるプロジェクトに成長させていただきました。これまでは、「夢の貯金箱総選挙」によって 寄付者のみなさまに支援内容を決定していただきましたが、よりわかりやすく、すばやいサポートを届けるため、日本財団が主宰する下記5つの基金から寄付先を選んでいただくしくみに変更させていただくことになりました。今後とも引き続き、日本財団へのご寄付・ご支援を、お願いいたします。

※下記以外の「あなたが創る夢のプロジェクト」は、引き続き受付けております 。
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以下はこれまでの活動のアーカイブです

ゆめちょ物語

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「自殺は社会問題である」とは?

その後私は、「自殺防止対策」についても取材を始めました。自殺まで追い込まれないようにするための取り組みが、当然行われているだろうと思ったんです。ところが、行政は「個人の問題である自殺に対して行政ができることはない」と、自殺防止対策には予算もなく担当者もいない状況でした。本来、社会問題である自殺に対する認識が間違っていることを伝えようと、あらためて取材を行い、翌年の2002年12月に「おはよう日本」の特集枠で放送することにしました。

そもそも、自殺が社会問題である、という意味についてですが、第一に、ある一定数の人たちが毎年、コンスタントに自殺で亡くなり続けていて、3万?3万3000人という、極めて狭い範囲で推移している。次にその中身を見てみても、たとえば経済苦などによる中高年男性の自殺が全体の約4割を占めているなど、同じような属性の人たちが同じような数で亡くなり続けている。しかも日本の自殺者割合は諸外国と比較しても極めて高く、自殺率でみると、米国の2倍、英国の3倍です。ということは自殺が起きるのは、個々人の問題というより社会環境、社会構造の問題なんです。

放送当時、番組には大きな反響があったものの、自殺対策にはつながりませんでした。社会的な動きが何もないから、「自殺防止や遺族支援にはこういう取り組みを」と報道側も伝えられない。私は報道の使命は「社会の声なき声を可視化し伝えるなかで、社会が正しい選択をできるよう材料を提供すること」だと思っています。自分はそれができないまま、政治・経済など自殺問題以外の番組づくりをしていてよいのか、と納得できない思いが膨らみ、とはいえ会社を辞める勇気もない…と、迷い続けました。それが1年半続いて、それで、今後も迷い続けるくらいなら試しにやってみよう、本気でやれば何かできるかもしれない、と決心し、2004年の3月にNHKを辞めたんです。その年の秋に、ライフリンクを立ち上げました。

まず「枠組みづくり」と「実態解明」

ライフリンク設立当時、仲間はほとんどいませんでした。自殺の問題と言っても、ピンときてもらえなくて。ただ、NPO法人は制度上、メンバーが10人いないと設立できないので、取材を通して知り合った仲間4人と、仕事上の知り合いの2人、地元の友達にも3人参加してもらい、9人まで集めました。どうしても1人足りなくて、最後は自分の母親に(笑)。それくらい、自殺問題は自分でも説明するのが大変で、語るのがはばかられるような状況でした。

私たちがめざすのは、「誰も自殺に追い込まれることのない“生き心地のよい社会”」の実現です。そのため、ライフリンクのミッションは、「自殺対策を、社会的な自律軌道に乗せることだ」と決めました。社会全体で自殺対策を総合的に推し進める基盤づくりに向けて私たちがとった戦略は、「枠組みづくり」と「実態解明」の両輪で進むことでした。

2006年5月、清水氏が発起人として自殺対策の法制化を求める署名活動を全国展開。「3万人署名活動」は最終的に10万人分の署名を集め、自殺対策基本法の成立に大きく寄与した。

2006年5月、清水氏が発起人として自殺対策の法制化を求める署名活動を全国展開。「3万人署名活動」は最終的に10万人分の署名を集め、自殺対策基本法の成立に大きく寄与した。

まずは国会議員やメディアと連携し、自殺対策を行う根拠となる法律=枠組みづくりに着手しました。1日に約90人が自殺で亡くなり続けている待ったなしの状況下では、自殺は個人の問題か社会の問題か、と議論するよりも前に、まず法律を作ってしまおうと。法律があるということは裏を返せば自殺は社会問題だ、と認められることにもなるからです。

もう一つは、実効性のある対策をとるための実態の解明です。私たちは2007年から「自殺実態1000人調査」として、自殺で亡くなった方523人とご遺族523人、合わせて1000人分の聞き取り調査を開始し、地域や職業別の詳細な分析と、自殺に追い込まれる経路などをデータに基づいて公表しようと決めました。取材をするなかで、たとえば自営業者だったら事業不振に陥り、借金を背負い、生活苦からうつ状態になり、自殺するといった、一定の経路が見えてきたからです。経路がわかれば、そのどこかで対策を打つことができます。

1000人調査では、調査に「参加」してください、と各地の遺族の集いなどに呼びかけました。私たちは「調査をする」という立場で、遺族は「体験を語る」という立場で参加し、一緒に対策を作っていきましょう、と。もし調査に「協力」してください、と言っていたら、これほど多くの遺族が一歩を踏み出してくれなかったと思います。これは遺族と支援者が立場を超えて結集したから、実現した調査です。「自分の家族は救えなかったけれど、その体験が誰かの命を守るために役立つのなら」という遺族の方の言葉には、人間の強さを真に実感させられました。


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