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夢の貯金箱

日本財団夢の貯金箱Facebook

2008年よりスタートした日本財団夢の貯金箱。これまでに10,000 人以上の方にご参加いただき、累計10億円を超えるプロジェクトに成長させていただきました。これまでは、「夢の貯金箱総選挙」によって 寄付者のみなさまに支援内容を決定していただきましたが、よりわかりやすく、すばやいサポートを届けるため、日本財団が主宰する下記5つの基金から寄付先を選んでいただくしくみに変更させていただくことになりました。今後とも引き続き、日本財団へのご寄付・ご支援を、お願いいたします。

※下記以外の「あなたが創る夢のプロジェクト」は、引き続き受付けております 。
 お気軽にお問い合わせください。
日本財団寄付総合窓口 kifu@ps.nippon-foundation.or.jp

以下はこれまでの活動のアーカイブです

ゆめちょ物語

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3年のつもりが10年に

当初、実は自殺問題についての活動は3年くらいで後進に引き継ぐつもりだったんです。でもライフリンク設立から約2年後、2006年に自殺対策基本法が成立してみると、「基本法」というのは理念法に過ぎず、理念を現場におろしていくための具体的な仕組みが必要でした。枠組みを作り、実態を解明し、実態に基づいて対策モデルを作り、全国でそのモデル通りに自治体が動いているか監視し、社会全体に対して自殺対策が重要だと啓発していく。その5本柱で初めて、基本法の枠組みが生きてくるのだと、法律ができた後で気づいてしまいました。

5本柱の実現は3年では果たせず、活動を続けてもうすぐ10年ですが、今ようやく第3コーナーまで来たように思います。実態解明も進み、私たちが行った調査だけでなく、それまで警察の中に埋もれていた市区町村単位の自殺に関する細かいデータも公表されるようになりました。性別・職業別・原因動機別・年代別、あるいは同居人の有無別など、各自治体が自分たちの地域でどういった人が多く自殺で亡くなっていて、誰がどういった支援を必要としているのかという、つまり実態に即した対策が立てられるようになったんです。また、民間や自治体間でネットワークができ、様々な自殺対策のモデルも共有されてきました。2012年・2013年の年間自殺者数は3万人を割りましたが、このネットワーク構築が、全国的な自殺対策の底上げに大きく貢献していると思います。

以前に比べ、自殺対策についての報道も増えてきました。メディアでしっかりと問題提起してもらって重要性を啓発し、その社会の追い風があるから、国や地域行政も動くんです。メディアで報道されるためにはいくつかコツがあり、何より重要なのはタイミング。○○強化月間、世界○○防止デー、といった国や世界の動きに合わせてイベントや報告書の発表を行うことです。プレスリリースは必ずA4・1枚におさめ、その報道を担当するであろう人たちに狙いを定めて発信します。しっかり動いてもらえるように、相手側の発想で準備することが大切です。

清水氏自身もオブザーバーとして参加している「自殺対策を推進する議員の会(自殺対策推進議連)」の様子。議連は政府への働きかけを行うなど、国レベルでの自殺対策の「監視」の役割も担っている。

清水氏自身もオブザーバーとして参加している「自殺対策を推進する議員の会(自殺対策推進議連)」の様子。議連は政府への働きかけを行うなど、国レベルでの自殺対策の「監視」の役割も担っている。

あとは5本柱でいう「監視」の仕組みを確立させることと、さらに今、対策のための実務、研究、政策というばらばらだったものを連動させる学会を作ろうとしています。現場の最前線のことが研究の対象になり、研究の成果が政策に反映され、政策が現場を後押しするPDCAサイクル(※)ができ、その社会の自律軌道に乗れば、ライフリンクも晴れて発展的解消できる日が近くなるかもしれません。

※PDCAサイクルとは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことで継続的に業務改善を行う手法。

 

いじめから救い、若者の将来を救う

自殺問題でここまで10年かかった、と考えると、いじめの問題については昨年ようやく「いじめ防止対策推進法」という基本法ができたばかりで、まだスタート地点に立ったところだと思います。

ライフリンクでは、東京都とのプロジェクトで若者の自殺について調査分析を行っています。いじめの場合、自殺の直接的な原因になるのに加えて、もっと潜在的に多いと思われるのは、過去のいじめ経験が遠因・間接的にその後の自殺の要因となっているケースです。いじめによる自己否定や周囲への不信感から、誰にも相談しないという癖がついてしまう。その後、社会に出て何か問題に遭遇しても、自分だけで抱えこんで自殺に追い込まれていく。いじめ防止対策は、現在危機にある子どもたちを被害から救うだけでなく、将来の自殺リスクを抱える人を減らす「自殺のゼロ次予防」という意味でも、極めて重要なんです。

いじめは今に始まったことではないじゃないですか。ある中学生のいじめによる自殺が大きく報道されてしばらく続き、過剰報道が批判されてそれがぴたっと止む。すると今度は「いじめられていた君へ」とか、メッセ―ジ性の高い報道に変わって…、というのを6?7年おきの周期で繰り返してきました。でも、その6?7年の間にもいじめは確実に発生し、亡くなる子どもたちがいるんです。メディアの周期のまま放っておくのはもうやめよう、大人が本気を出して問題解決に取り組もう、と昨年立ち上げたのが「ストップいじめ!ナビ」です。いじめから抜け出す具体的な情報を子ども、保護者・教師向けに発信しているほか、今年は「いじめ実態白書」の作成にも取り掛かろうとしています。自殺対策までこぎつけた時と同様に、いじめ問題も、実態の把握と根拠に基づいた対策モデルづくりからスタートし、5本柱に沿ったプロセスを社会全体で推進していかなければなりません。

いじめの問題は、かつて子どもたちだった私たち大人が取り組まなければならない。変えるべきものは変えていく、という当たり前のことを大人が見せていくべきです。ただでさえ今、この不景気の中で「生きるのをやめたい」と言う若者が増えています。死にたいのではなく、将来の夢がない、信頼できる人間関係がない、生きるのが楽しくない。でも社会にはちゃんとそれを変える自浄作用がある、生きる価値のある社会なんだ、と思ってもらえるように、私はこれからも活動していきたいと思っています。


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